東北の雪の町
私の心惹かれる自然風景は東北の雪の町だ。約一年前の冬に北海道と東北を旅し、初めて東北の雪に出会った。自分の国ではあまり雪が降らないので、雪と共に暮らすのは滅多にない経験だった。その時、住んでいた京都でも雪が降ることがあったが、東北の雪は全然違うと感じと思っていた。
京都市内の雪は、雨のように降ってくることが多いが、東北の雪は、1日中降り続き、存在する空間にまるで生き物のように踊っていると思った。時々、雪のせいで、目の前も見えなくなり、何枚かの服を着ても体の熱を保てなかったが、何となく冷静になって落ち着いた。
絵画が好きなので、その時、電車に乗りながら外の雪の景色を見ると、なぜ日本画はそのように描かれるのかがわかった。雪に覆われた山と木の様子はちょうど膠で描かれる質感と似ているわけだ。東北の雪のお陰で、それぞれの芸術と自分の住んでいる土地との繋がりをより深く感じた。
私にとって、雪に覆われた世界では、どんなに複雑な現実であっても、視覚的に一色になるので、その世界は単純に思えた。その上、雪が降るからこそ、自然の力も人間の意志も感じられた。避けられない自然の変化に対応するため、どんなに頑張ってもできない事をはっきり見て納得するし、できることを自分の力の限り発揮するのが、我々人間の生き方の一つではないだろうか。
このような雪の景色の魅力はこの景色に出会う前には、全然想像できなかったことだったし、見た後、様々な不思議な経験だった。酷く寒い時もあるかもしれないが、日本に住んでいる人はもちろん、他国の人も日本に来たら、ぜひ東北の雪の町を見に行って欲しい。